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029【マスコット・ガール】1996年2月25日
    
2月10日から12日までの3連休、私は蔵王へスキーに出掛けた。

9日の午後6時半頃、私は当社のYK氏と共に会社を出た。
YK氏は、姉妹ブログ“今日この頃 番外編”の【ASIAN TOUR '95】にも登場している。

タクシーで東京駅まで行き、早速大丸デパートの地下に降りた。

私達が今晩からお世話になる“ホテルJ”の“オカミ”の大好物である“人形焼き”をお土産に購入した。
近くに売っていた“洋梨のパイ”も美味しそうだったので一緒にお土産にした。

蔵王に行く時は必ずと言って良いほど“人形焼き”をお土産にする。
“オカミ”は、蔵王の“ホテルJ”の娘である。
名前が“岡○美○子”と言うので、昔から“オカミ”と呼ばれていたらしい。

お土産購入の後、当然のごとく弁当とビールを物色した。
ところが、美味しそうな弁当類はことごとく売り切れており、選択はかなり制限された。

一通り買い終わった私達は改札を抜け、私の行き付けの店“サンディーヌ”前に向かった。

そこには、今回一緒にスキーに行くHI君とTW嬢(女性)が待っていた。

HI君は、私が以前勤めていたD証券という会社で同期だった友人である。
数年前までは可愛い笑顔が売りで、“バック・トゥ・ザ・フューチャー”でお馴染みのマイケル・J・フォックスに似ていたが、今は太ってしまい、その面影も無い。

TW嬢は、これまでもレポートに何度か登場しているので説明は省きたいが、簡単に言うと“ブーフーウーの一人で、私の歌い友達でもある”ということになる。

彼らが弁当類を購入した後、私達4人は新幹線の改札を通り、19:24発の“つばさ197号”に乗り込んだ。

現在、JR東日本が“山形新幹線つばさ”のなかなか良いCMをやっている。
雪の降る中を“つばさ”が走り抜けていく様を、後方から望遠で撮っているものだったと思うが、スリップ・ストリームに雪が巻き込まれていき、映像とバックの吉田美奈子の曲とがとても良く合っている。

吉田美奈子ファンの私としては、大変嬉しい。

吉田 美奈子 BEAUTY


昨年末に蔵王に行った時は、仕事納めの日の午後に蔵王に向かったため、特に福島を過ぎてから在来線を走る時の雪景色は綺麗だった。

今回は夜の為、外の景色は見えなかったが、久々にHI君と話をしながら向かう事ができたのでとても楽しかった。

私達の乗った“つばさ197号”は、22:10に“かみのやま温泉”に到着した。
終点の山形駅まで行ってしまうと、蔵王温泉に行くには遠回りになってしまう。
ゆえに、私達は毎回一つ手前の“かみのやま温泉”で下車し、ここからタクシーで行くことにしている。

駅前のタクシー乗り場は空いていて、直ぐに順番が回ってきた。
私は蔵王温泉に行きたい旨を運チャンに告げた。
『雪深い夜道を登っていくので嫌がるかな?』と思っていたが、彼は快諾してくれた。

荷物をトランクに入れ、車は走り出した。
運チャンは地元の人だが、以前東京で仕事をしていたらしく、人なつこく色々話し掛けてくる面白い人だった。

駅から少し走ると、蔵王へ続く登り道となる。
そこで、私達の前に駅を出たと思われるタクシーに追い付いた。
トロい!

私達の運チャンは前車の尻にくっつくが、抜こうとはしない。
その時、彼がボソッと言った。
「同じ会社の車なんだよねー」と。
だから抜けないらしい。
仁義が有るのだ。

前の車には後部座席に女性が一人だけ乗っているように見える。
私達の車より軽い筈なのに遅い。
私が、「前の運チャンって、トロいの?」と尋ねると、「どうかなー? わかんねーなー。」という返事が返ってきた。

その後、私達は「前の運チャン、女の子と話に夢中なんじゃないの?」とか、「若い娘と少しでも長くお話ししたいから、ゆっくり走ってんじゃないの?」等と勝手に噂をしていた。

しかし、時折急にスピードを上げることがある。
その様な時は、「女の子との話が途切れたんじゃないの?」とか、「女の子に『運転手さん!ちゃんと走って下さい』って指摘されたんじゃないの?」と詮索していた。

登っていくに従い路面に雪が多くなり、前の車が尻を振ることが多くなってきた。
その点、私達の車は安定していた。
何故かというと、たとえ痩せている?とは言え、後部座席に男性が3人、そして助手席にはTW嬢という布陣である。

女性の彼女が助手席に座っていることから推察していただけば、賢明な読者には私が何を言わんとしているか分かって頂けるであろう。
これだけの重量がタイヤに掛かっていれば、スタッドレスタイヤと言えども雪の坂道を十分グリップするのである。

私が、『重い方が雪道では安定する』という内容の話をしたら、運チャンは同意してくれた。

運チャンは何気なく運転しているように見えるが、聞いてみると本当は『結構恐い』らしい。
運チャン曰く「そのたんびに、『ウー』とか『ギャー』とか言ってたら、お客さんは安心して乗ってられんもんね。」とのことだった。

そこで私達は、『前の車にTW嬢を貸してあげよう!』という案を思いついた。
それが発展して、『TW嬢をいつも乗せておけば、車は安定して運転手さんも安心』という話になった。

運チャンは、そのまま同意してしまってはTW嬢に悪いと思ったらしく、「じゃあ、うちの会社のマスコットになってもらうか!」と言い出した。
TW嬢は、自分が冗談のネタにされているにもかかわらず、その“マスコット”という響きが嬉しかったようで、上機嫌である。

話は更に続いた。
「でもTW嬢が車内にいたらその分、お客さんが乗れなくなっちゃうよ。」ということになり、解決方法として「じゃあ、屋根に乗ってるっていうのは?」という案が出された。

しかし、これに対しTW嬢本人から「それじゃ、寒いじゃないのよ!」という反対意見が出され却下された。

次に、「じゃあ、トランクに入ってるっていうのは?」という案が出た。
すかさず私は、「それじゃ、ウイリーしちゃって走れないよ」と忠言した。
一瞬にしてTW嬢の顔が曇った。

≪ウィリー!≫


このようにして、TW嬢はしゃべらなくても存在そのものが話題を提供してくれる人である。
しかし、しゃべっても話題が提供できる希有の存在でもある。

それは彼女自身が証明している。
TW嬢からの今年の年賀状には、『今年の目標は正しい日本語のマスターです!』と書かれていた。
しかし、未だに進歩は見られない。

彼女の「お願い、書かないで」という懇願により、陽の目を見ていないネタは数多く存在する。
乞う御期待!

結局、運チャンは目指す“ホテルJ”の玄関近くまで上がってくれて、私達は3日後の12時半の再会を運チャンと約し別れた。

※ウイリー…2輪車等が前輪を上げ、後輪のみで走行する様子。


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