今日この頃

日常生活の中で経験した、チョット気になる出来事を綴りました。 チト古いけど、案外笑えます。

オヤジ

022 オヤジ 2

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【022 オヤジ 2】1995年12月14日

同じ日、私と会社のYK氏は美女?3人組(彼女らは一部で“ブーフーウー”と呼ばれていることを知っている、とても心の広い人達だ)と伊東の温泉に行くことになっていた。

当初の目論見では、午前中の“アクティー”という電車で東京を発ち、午後の早い時間には温泉に浸かっている筈だったが、YK氏は原稿が大忙し、私は午前中に筑波に行かなければならなくなってしまった。

結局、私が会社に戻ったのは午後3時頃。
YK氏は、まだワープロに向かって奮闘中だった。

私は時刻表を広げ、接続の良い列車を探した。
午後4時過ぎに、伊東まで乗り換え無しで行ける列車が有った。

宿に電話してみると、憎らしいことに“心の広い美女?3人組”は既にチェックインして寛いでいやがった。
チクショー!

夕飯の時間を7時半してもらうように伝え、電話を切った。

YK氏を急かし、なんとか午後4時前に東京駅に辿り着くことができた。
東海道線のホームに上がった時、私達が乗ることになる折り返しの列車から、乗客が降りてきているところだった。

清掃の後、私達二人はグリーン車に乗り込んだ。
普通列車なのにグリーン車が2両有り、私達が持っていたクーポン券でグリーン車に乗車する事ができた。

早速ビールとツマミを買い込み飲み始めていると、列車は動き出した。

川崎辺りまでは二人でくだらない話をしていたが、どちらからともなく眠りに落ちてしまった。

ふと目が覚めたのは、確か“こうづ”という駅に停車した時だった。

YK氏も目を覚ましていて、私がトイレに行こうとすると、先に行かれてしまった。
仕方が無く、私はYK氏の帰りを待ってから、席を立った。

トイレの前には一人の中年オヤジが佇んでいた。

でも、変に落ち着きが無い。
順番を待っているのか定かではなかったので、「待ってるんですか?」と尋ねた。
これがいけなかった。

男は、「うーん、そーなんだよねー。冷えちゃってさー」と、内股で腰を引き気味に私に語り始めた。

実際、車内の暖房の効きが悪かったので、私も、「車内、寒いっすよねー」と応えると、男は続けて、「横浜で、してきたんだけど、『したいっ!』と思うと、我慢できなくなっちゃうんだよねー。」と、告白を始めた。

私は、『やばいっ!』と思いながらも、「そーなんですかー」と、いい加減な返事をしていた。
すると、個室内で物音がして、先客がそろそろ出てきそうな気配である。

男の注意は個室に移った。
直ぐにドアが開き、待ちきれない様子で、入れ替わりにその男は個室に飛び込んだ。
しかし、相変わらず腰は引けていた。

暫くして男が個室から姿を現したが、心なしか浮かない顔である。
『おかしいな?』と思いながら、私は個室に入り用を足した。

通路をはさんで、個室の反対側には洗面所があるが、私が個室から出てくると、例の男はまだ洗面所にいて、タバコを吸っていた。

『迷惑な奴だな』と思いながら、「すみません」と言って、片足を踏み入れ、身体を伸ばし手を洗った。

男は、またしゃべり始めた。

「出きらないみたいなんだよ。膀胱炎になっちゃったかな?」と、再び告白されてしまった。
残念ながら、私は医者ではないので分からない。

「お大事に」と声を掛け、私はサッサと逃げた。

一日の内に二度も変なオヤジにつかまってしまった。
私は変なオヤジを引き付ける力を持っているのだろうか?

若い女性を引き付けるのだったら大歓迎だが、オヤジは遠慮したい。
果たして、来年は良い年になるのだろうか?


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021 オヤジ 1

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今号から“爆笑 今日この頃”改め、謙虚に“今日この頃”と致しました。
引き続き、ご愛読のほど宜しくお願い申し上げます。


【021 オヤジ 1】1995年12月14日

12月9日土曜日の午前中、私は当社H本取締役と筑波のお客様の所に行くことになっていた。

9時前から会社で待っていると、H本さんから電話が入り、今築地駅を降りてこちらに向かうとのことだった。
私はビルの下に降りて待っていた。

間もなくH本さんが現れ、二人で駐車場へと向かった。

当社が借りている駐車場は地下の機械式のものである。
どのような代物かというと、タワー式のパーキングと同じ様なゲートに車を入れると、車を乗せたプレートが地下に垂直に降りていき、地階の空いているスペースに、プレートが水平方向にスライドして入るというシステムである。

自分の住所を持って、決まった場所に格納されるわけではなく、ギッチリ詰め込んだ状態になっていると思われる。
ゆえに車を出すときは、コンピュータがパズルを解くように、車のプレートをあっちにやったり、こっちにやったりして、ようやく車が奈落の底から上がってくる。

満車に近い状態で、最悪の位置にプレートがある場合は、車を呼び出すのに10分以上要することもあるらしい。

駐車場の出入口は、一方通行の道路に面しているビルの一階にあり、ターンテーブルはその道路から少し奥まった所にある。

私達がそこへ辿り着き、道路からターンテーブルの方へ足を踏み入れると、駐車場の操作盤が開いていて、その奥の方に誰か人らしきものがいるのが見えた。

間髪を入れず、その人間はしゃべり始めた。

「いやーっ。一足遅かったね。今、俺が出してるところなんだよ。ごめんねー」と、来た。
私達は呆気に取られて、すぐに反応することができなかった。

この様な場所では、当然早い者勝ちという極めてシンプルな掟があるので、こんな形で謝られたこともなかったし、謝られるとも思っていなかった。

すかさず、気を取り直して「とんでもないです」とだけ答えた。

しかし、男はその後もしゃべり続けた。
「いやーっ。俺が悪いんだよねー。こないだ、アメリカ行って、風邪ひいて帰ってきたもんだから、みーんな風邪ひいちゃってさ。やっぱ、俺が悪いんだよねー」と、いきなり話題はアメリカである。

年の頃は60過ぎといったところか。
口にしているマスクを左手で持ち、引っ張った状態でしゃべりまくる。

瞬間、敵の攻撃が少しだけ緩んだところで、私は缶コーヒーを購入するため、道路へと出た。
私がどれにしようか迷っていると、集中砲火の中に取り残されたH本さんが、意味もなく私の方にやってきた。
どうやら耐えられずに退散してきたようだ。

コーヒーを買い求めた私は、再び操作盤の前に戻り、『あのオヤジの車が出てくるまで、あとどのくらい掛かるのか?』をなにげに確認した。

無情にも、残り時間のデジタル表示は4分強を示していた。
ホントに使えないパーキングである!

獲物を見つけたオヤジは再びしゃべり始めた。
「アメリカは暖かかったんだけどさー、向こうはこーんな(※マスクを持っていない右手を大きく振り回して)でっかいトラックをさ、Tシャツ着たこーんな(※繰り返し)でかい男が運転してるじゃない。かと思うとさ、すっげー可愛い女の子も運転してたりするんだよね。ほらほら、日本もさ最近ダンプ運転してる女の子多いじゃない……」

このオヤジはどのような思考回路をしているのだろうか。
初対面の人間にこんな事を話して何になるというのだろう。
その上、話に脈絡がない。

私は缶コーヒーを呷りながら、『オヤジの左手のグリップが緩くなって、マスクがパチンと顔に当たれば面白いのに』等と思いつつ、目線は合わせずに時々頷く程度にしていた。

H本さんときたら、もう聞いちゃいない。
それどころか、ぶつぶつ悪態をついている。

そのうちにオヤジの話は最初の話題に戻り、「聖路加(病院)行っても、休みだから他の所行かなきゃ」と、自己完結した。

私はパーキング内部が見える窓を覗き込んだ。
オヤジのものと思われる車が、丁度上がってくるところだった。
私はほっと安堵を覚え、オヤジ向かって、「来ましたよ、車」と伝えてあげた。

オヤジは残念そうにマスクを元の位置に戻した。
ゲートが開き、オヤジはパーキング内部に入っていった。
H本さんと私は顔を見合わせ、お互い首を傾げた。

オヤジの車がバックで出てきた。また車外へ出るとマスク持ち上げてしゃべり始めそうだったので、車が停止した瞬間にターンテーブルの旋回ボタンを押してあげた。

それと同時に、彼の操作盤用のキィを抜き運転席側に回って渡してさし上げた。
希に見る好青年ぶりである。

彼が走り去った後の私達二人の共通した感想は、『風邪より頭を診てもらえっ!』だった。


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003 スクワット

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【003 スクワット】

1994年の12月初旬の事だったと思うが、「筑波に10:30」という約束で、私は常磐自動車道を走っていた。

余裕を見て築地の会社を出発したが、予想に反して首都高速が空いていた為、時間調整と休憩を兼ねて守谷PAに車を停めた。

小用を足した後、私は売店に入りコーヒーを注文した。

紙コップに入ったコーヒーを持って現れたオバチャンに225円を渡し、湯気の立ち上るカップを受け取った。
彼女のミルクとシュガーの勧めを、私は無碍にも断り、その場を辞して、テーブルでコーヒーをすすった。

頃合も丁度良くなった頃、私は売店を後にし、我らが社有車、とってもお洒落なアベニール・ワゴンへと歩を進めた。

我らがアベニールの第一の特徴と言えば、それは“運転席のドア・ロックを解除しても、他のドアのロックは決して解除されることは無い。”ということである。
使いやすさ?と安全性?の双方を高次元で実現した、類稀な商用車と言えよう。
それ以前にグレードの問題か?

さて、その我らがアベニールに近付いていくと、手前に停まっている車とアベニールの間で、不自然な上下運動を繰り返しているオヤジが目に付いた。

『オヤジ! 何ゆえ、こんな所でスクワットなんぞしているっ?』と思いながら車の間を覗き込んだ。

すると、オヤジは汗だくになりながら、“シャコシャコ”と自転車用の空気入れを上下に動かしていた。

ホースの先に目を馳せると、それは彼の愛車コルサ?のタイヤに繋がれていた。

はたして、そんなチャチな物で自動車のタイヤに空気が入っていくのだろうか?
当PA内にはガソリンスタンドが有るのだが!

或いは、新手の体力作りか?
正解を待つ!

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