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【019 レバ 1】1995年12月3日

私の部屋のお向かいさんは、NAさんという女性である。

私はこのマンションのオーナーOさんのご厚意で入居しているのが、NAさんはOさん通い付けの健康法のインストラクターであり、施術もする。

私も二度ほどこれを受けたことがあるが、超気持ちいい。

まず、特殊な布団に20分ほど寝て血行を良くする。
その後50分間、体中を足でマッサージしてもらう。

この途中で意識は遠退いていく。
最後にまた、布団で20分間寝るのが普通のコースだが、場所の余裕さえ有れば、更に眠りこけていることもできる。

初回は無料体験できて、2回目以降も1回あたり3600円という手頃な値段である。
結構いい。

NAさんの同僚でT君という男性がいる。
女性ばかりの職場で男一人頑張っている。

彼とは何度か飯も食っているが、非常に面白い。
T君は可愛い彼女はいるものの、独身なので、NAさんが毎日T君に500円でお昼の弁当を作っていってあげているらしい。

先週の日曜日、マッサージを受けた後、私はNAさんと映画を見に行き、中華を食って帰った。

マンションまで戻り、「じゃあ、おやすみ」と言って別れた直後、NAさんが私の部屋のドアを叩き、「HOさん(私)、ちょっと来てっ!」と興奮しながら、私を呼んだ。

急いでNAさんの部屋に行ってみると、彼女は留守番電話を再生し始めた。
それを注意深く聴いてみた。

男が抑揚の無いゆったりとした口調で、「こんばんは。今夜はレバニラを食べて下さい。明日の昼もレバニラで、お・ね・が・い・し・ま・す。(フェイド・アウト気味に)」と録音されていた。

聴いている間に、『ははあ、これはT君だなっ』と分かった。
面白かったが、意味が良く分からなかった。

早速、逆襲に出ることにした。
NAさんにT君の部屋をダイアルしてもらい、受話器は私が持っていた。

彼が電話に出たところで、「こんばんは。今夜は中華を食べました。明日の昼は…」としゃべっていたら、T君は私だと分かったようで、笑っていた。

NAさんに代わってくれと言うので、受話器をNAさんに渡した。
二人は暫く話していたが、NAさんが受話器を顎と肩で挟んだまま、会社帰りの荷物の中をゴソゴソ始めた。

動きが瞬間止まった直後、ひっくり返って大爆笑を始めた。

その彼女の右手には、人体模型の肝臓が握られていた。
T君がNAさんの鞄に、こっそり入れておいたのだ。

私も爆笑し、レバ?が痛くなった。


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