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032【変態】1996年2月25日
    
土曜日の夜から部屋が変わった。

通称“ふるさと”と呼ばれている離れの大広間である。
数年前、改装され綺麗になった。

無理矢理予約を入れて貰う時は、ここ“ふるさと”を含めて大広間を使わせていただくことが多い。

“ホテルJ”のオカミは恐縮して「ごめんねー」と言うのだが、その逆で、私はこの様な広い部屋を少人数で占拠出来ることがとても嬉しい。

なんせ今回も畳の数は数えていないが、100畳位有りそうな部屋にたったの4人である。
暖房はちゃんと効くし、テレビも有る。
布団は使い放題で山積みになっている。

こうなれば、布団に向かって助走を付け、ダイビングを決めるのは当然の成り行きであろう。
この様な部屋を喜ばない方が不思議である。

更に、広い部屋の中、“何処に寝ても可!”である。
今回“ふるさと”は、パーテーションで二つに仕切られ、他方はもう一つのグループが使用していた。

日曜日の夜のことだった。
食事を終え、ナイターでソリをやり、そのままソリに乗って温泉街まで散歩に行った。

ソリも私のような上級者になると思い通りに舵を取る事ができ、雪と斜面さえ続けば何処までも行けてしまう。

“ホテルJ”で夕飯を気持ち悪くなるほど食ったにもかかわらず、私とTW嬢は温泉街で“玉こんにゃく”と蒸かしたての饅頭をいただいた。

酒屋では色々文句を言いながら四人で酒を試飲して、売り子の兄さんと一方的に仲良くなった。
お土産などもそれぞれ購入し、帰りの長い上り坂に悪態をつきながら、私達はホテルに戻った。

ホテルに戻った後は一日の疲れを癒す為、風呂に入った。
温泉と普通の大浴場があるが、私は必ず温泉の方に入る。
そうしないと、『蔵王に来たっ!』という感じがしないのである。

入浴後は怠惰な時間の始まりである。
皆、思い思いの場所に布団を敷き、半分寝てるような時間を過ごす。

昨晩、YKさんから借りた「アメリカで買ってきた」というエア・サロンパスのようなスプレーが腰に良く効いたような気がしたので、今日も使わせてもらうことにした。

しかし、強烈な臭いなので廊下に出て、ふくらはぎや太股に散布した。

暫くしてHI君が「ケツが痛いんだよなー!」と言って、YKさんからスプレーを借り廊下に出た。
その時私は、布団が段積みになっている上に登り、仰向けになって脱力していた。

HI君がスプレーしている音が聴こえてくる。
おそらく紺の3本線のアディダスのジャージを膝まで下げ、パンツもずり下げてケツにスプレーしながら悦に入っているであろうHI君の姿が想像された。

その時、隣室の襖が開く音がした。
瞬間遅れて、HI君のものと思われる衣擦れの音がし、彼が慌てた様子で部屋に入ってきた。

と同時に、彼は「やっべー。女の子に見られちゃった!」と告白した。
本人曰く、「すんでの所でパンツ上げたから大丈夫だったけど。」ということだったが、あのタイミングでは手遅れだったに違いない。

隣室の女の子も、廊下に出たら薄暗い中にボーッと浮かび上がる青っ白いケツを見たら、さぞかしショックだったろう。

私は堪えきれず、隣室にも聴こえるような大笑いをしてしまった。


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